ハイジ「センバスチャンセバスチャンセバスチャンセバスチャンセバスチャンセバスチャンセバスチャンセバスチャンセバスチャン!チャン!チャン!チャン!チャン!」
クララ「大きな声出さないで!!耳が潰れちゃうじゃない!耳が痛い!!」
ハイジ「うあ…っ。」
セバスチャン「何ですか、お嬢様。聞こえてますよ。」
ハイジ「フランクフルトは後どれくらいで着くの?」
セバスチャン「そうですね…えぇっと大体~…」
クララ「まだ出発したばかりじゃない。一緒に読書とお人形遊びと…あと何回かして…何回かしてれば、すぐに着くわよ」
ハイジ「本当?楽しみだわ~。着いたらクララの家で沢山の低燃費を見るのよね」
クララ「そうね」
ハイジ「それが終わったらすぐ近くの公園に行って蝶々を取るのよね」
クララ「ハイジは本当に蝶々を取るのが好きなのね」
ハイジ「うんっ!うふふっ」
クララ「おじいさんと蝶々、どっちが好き?」
ハイジ「……………………。」
クララ「…そんなに悩むならいいわ。どうでもいいけど外で貴方のおじいさんが走ってるわよ」
ハイジ「え!?」
クララ「ほら」
ハイジ「あっ、おじいさんだわ。こんなところで何してるのかしら。おじいさーん!おじいさーん!何してるのー?」
おんじ「ハイジーー!!ハイっ…ハイッ…ハイジーー!!!おじいさんだよー!戻ってー!戻って来てー!!戻ってカムバックーーっっ!!戻ってカムバックーーっっ!!カムバックなんじゃよーー!!何も言わないで出て行ったらおじいさんが悲しむでしょーが!まだおじいさんが悲しんでる途中でしょうが!!わかるー!??フランクフルトなんてもうあんな所に行ったら大変な事になっちゃうんだよー!ハイジ!ーハイジはアルプスに居る方がいいんだよ!!帰っておいでー!!」
ハイジ「クララ、おじいさん何してるのかしら?」
クララ「よくわからないけど、必死な顔して何かを訴えてるみたいだわ」
おんじ「聞いてください!ハイジと話がしたいんですぅ!話を聞いて下さい!話ぃ…を…!話…っ!」
セバスチャン「…あ?…鼻…?」
おんじ「は・な・し・を」
セバスチャン「あ?…あぁ、お嬢様。“鼻毛を抜いて下さい”と仰ってる様ですよ」
ハイジ「え?」
セバスチャン「『鼻・毛を・抜・い・て・く・だ・さい』ほら」
クララ「あらやだ。ハイジ、アンタちゃんとおじいさんに『鼻毛出てますよ』って言ってあげなきゃ駄目じゃない。きっと何十年も放置したまま気づいたら予想以上に…毛が……溜まって、たんで…、恥ずかしくなっ…ん?恥ずかしくてっ…恥ずかしさからまた…恥ずかしさからたまらず助けを…求めに…来たんだわ!ひげか鼻毛かわからないんだったら、多少のリスク負ってでも、『鼻毛出てますよ』ってやんなさいっ!!」
セバスチャン「おーじいさまあー!」
クララ「おじいさあーん!」
ハイジ「おじーさーんっ!!」
クララ「おじいさあーん!」
セバスチャン「我々ではどうする事も出来ませんのでー、そちらで処理していただけますでしょーかあ?鼻毛を処理するにはそれ専用のはさみですとか…」
おんじ「えー?何?何も聞こえんよー!あー?あぁ…も、もういいからっ!とりあえず一旦止めて下さい!止めてー!おじいさんの一生のお願いですぅ!止めてー!止めてよ、もぅ止めてー!!」
ハイジ「バイバーイ♪バイバーイ」
おんじ「はぁい、バイバーイ♪また一緒に遊んでね~!ボケェッッ!!バイバイちゃうわっ!!止めてって…これ止めてって言う意味。これ。止めてー。止めてー。…あっ、そうだ!わしが苦労の末、ふもとの村で買ってきたペロペロキャンデー!これさえあれば、ハイジはわしに釘付けなんじゃて。どうじゃ、ハイジー!ほれー!窓開けたら褒美にコレやるぞー!どうじゃー!ハイジー!ほれ!!」
クララ「チョコもあるわよ。」
ハイジ「うん美味しい♪」
おんじ「くそーーーっっ!!!行かないで!考え直すんじゃハイジ!きっと後悔するぞー!後でまた帰りたくなってもすぐに帰って来れなくなるんじゃよー!」
クララ・ハイジ「ヒヒヒ…ハハハハ…」
ナレーション(その後おじいさんは1mmたりとも窓を開けてもらえず、悲痛な叫びをハイジに届ける事がかないませんでした。
それでも諦められないおじいさんは、ただひたすらフランクフルトを目指して走り続けるのでした。)
おんじ「ハイジー!」
ヤギ「メェェ!」
おんじ「ハイジーー!!」
ヤギ「メェェェエ!!」